スリランカに吹く風 Sri Lanka’s Winds

Vol.2 『2本のクラリネット』

2020年3月11日掲載

 スリランカ東部の町での少女たちとの出会いは本当に偶然でした。2本のクラリネットはかなり故障したとても古いもので、いろいろな人に聞いてみると、約30年前にオーストラリアの人々が置いていったらしいということでした。どのような経緯でこの街にクラリネットを置いていったのか、どんな思いでこの楽器を置いていったのかは今は誰も知らないのですが、少女たちが クラリネットを大好きだということだけは明らかでした。

 その少し前、私は日本である木管楽器修理の技術者に偶然出会いました。スリランカから帰国するとすぐ彼にその2本の壊れたクラリネットを見せたのです。彼は故障の状態があまりにひどいので初めはため息をつきましたが、数週間かけて見事に修理、調整をしてくださいました。吹いてみると、驚くほど見事に修理されてあり、気持ち良く息が入りました。

 しっかり修理調整された楽器を少女たちに渡すとさっそく吹き始め、その目は輝き、「クラリネットに息を入れるのがこんなに気持ち良いなんて!」と言いながらいつまでも吹き続けており、2本のクラリネットを何人もの少女たちが代わる代わる吹いていました。

 クラリネットを置いていった人々の思い、修理をしてくれた技術者の思い、そしていくつもの偶然が重なり、楽しそうに楽器を吹いている少女たちが奏でる音は忘れられない。

 その後、私は日本から何本かのクラリネットを持って行き、みんな楽しく演奏している。
                           

クラリネットについて : Wikipediaより
C.M.v.Weber:Concerto for Clarinet and Orchestra, No.1 in F miner, Op.73
外部音源 Youtube